在留資格入管取次行政書士奮闘記(事例紹介)


 

在留特別許可

実質的に婚姻生活をしている外国人の残留資格申請
K国から入国したGさん(女性)。同居して、実質的な婚姻生活をしていた日本人Hさん(男性)が相談に来ました。HさんによるとGさんは過去に退去強制歴があり、退去からまだ2年も経っていない。なんとか適法な在留資格を取得できないか?との話。
よく聞いたら、Gさんは帰国後誕生日の訂正を裁判所に認められ、それをもとにパスポートの交付を受けたと。K国と日本はビザ無し渡航が認められているので、成田空港でとがめられることもなく90日の短期滞在が認められ、今回が退去後3度目の入国だということでした。
これは悩ましい事案で、確かに成田空港の入国係官が、入国できない者を見逃した落ち度もあるが、退去強制歴を隠したGさんにも非がある。在留特別許可を得るしかないか?とも思われたが、形式的には有効なパスポート、有効な上陸許可(短期滞在「90日」)を得ているわけで、「短期滞在」→「日本人の配偶者等」変更許可申請も可能かとも考えた。
いずれにせよ、Gさん、Hさんが法的に結婚していることが大前提だったので早く婚姻届を出すことが必要と説明し、翻訳文等の作成手続も手伝った。 熟慮の末、とりあえず在留資格変更許可申請を東京入管になして、不許可になった場合に出頭の上、在留特別許可を求めるという二段構えでいくことにした。
変更申請から2ヶ月後、入管から本人の出頭を求めるハガキがきた。こういう場合はまず不許可。G,Hさんに同行して入管に出頭し、入国係官から不許可理由(上陸拒否期間の未終了)及び出国準備期間のための変更申請(「特定活動」)を勧められたが、Gさんは継続して日本に在留したい旨を述べ、私が在留特別許可を求めることを説明した。 あらかじめ、在留特別許可手続に入ることも想定し、そのための必要書類等も準備してあったので、翌週東京入管調査第三部門に出頭。在宅事件としてGさんが収容されることもなく、その日は帰宅。待つこと4ヶ月、入管から呼び出しを受け、G,Hさんが出頭すると在留特別許可(「日本人の配偶者等」)が下りました。
この案件はかなり早い決着をみましたが、在留特別許可はあくまで退去強制手続のなかでお願いするもので、在留特別許可申請という手続があるわけではありません。通常、許可まで半年はかかります。最初の相談から7ヶ月超。「日本人の配偶者等」の在留資格を得たので、今後は通常の手続で更新申請などができるようになりました。 以上、苦労した案件を紹介しました。今後も、参考となるべき事件があったら随時追加していきます。
在留特別許可から永住許可申請へ
H国籍のAさん。オーバーステイの状態で日本人女性Bさんと結婚。その後Bさん同伴で東京入管(品川)に出頭し、在留特別許可を要望した。「在留特別許可」という申請手続きはなく、あくまで退去強制の手続きの中で、違反事実を認めながら日本に残りたいとお願いし、法務大臣が恩恵的に在留を認めるのが在留特別許可である。
Aさんは幸運にも在留特別許可を得て、「日本人の配偶者等」の在留資格を得た。
在留特別許可から5年経ち、Aさん、Bさんから帰化申請をしたいとの相談があった。この場合、帰化許可は期待できないどころか、そもそも申請しても受理されない。帰化の7要件のうち「素行要件」(国籍法5条1項3号)を満たさないからである。一般に帰化申請できるのは在留特別許可から10年とも15年とも言われている。
それでは、永住許可はどうか?これは在留特別許可を経ていても可能である。永住許可の要件は①素行善良②独立の生計力を満たした上で、法務大臣がその者の永住が「日本国の利益に合する」と認められることであるが、日本人と結婚している場合は上記①、②に適合することを要しないと入管法に定められているからである。
永住許可のガイドラインでは、原則10年の継続在留が要求されるが、日本人の配偶者の場合はこれが3年に緩和されている。また永住許可申請をするときに、その資格に付与されている最長の在留資格が必要である(日本人の配偶者の場合3年)。Aさんの場合、いずれにも適合しているので永住許可申請をすることになった。
永住者は日常活動に制限はなく、在留期間更新許可申請も不要で、原則として資格の取り消しもないというスーパー資格であるので、添付書類も多く、審査も慎重であり通常申請から許可まで半年はかかる。Aさんの場合、特に「理由書」を厚く書いた。
‘09年8月初めに申請。許可には審査時間がかかるので、年越しを覚悟していたが、12月初旬に許可が下りた。申請から4ヶ月ちょっと経過。思いがけず早い許可で、AさんBさんは大変喜んだことは言うまでもない。早期許可の理由で大きかったのは、申請中に二人の間に子供が誕生したことと、「理由書」が充実していたことと自負している。